※これがセオリー!これが常識!これがイチバン!というものではありません。
イチ個人の考えと思ってください。
エゾジカ猟やロングレンジライフルでの待ち伏せ猟ではなく、スムースボア、ハーフライフルを用いて杉山や開けた森を歩いてニホンジカを単独忍び猟で撃つ場合にオススメなスコープを紹介します。単独忍び猟でニホンジカを撃つ
ぼくは単独忍び猟でニホンジカをよく撃ちます。単独忍び猟というスタイルはハンター人口全体から見れば少ないのではないかと考えています。今回も私なりのセオリーについて書いてみました。
※以前の記事と相違することを言う場合もあります。それは当時の自分はそう考えていたというだけのことです。
出会った距離は近い時、遠い時がある
ぼくが行く山は起伏が激しく急斜面や山頂から伸びた尾根がたくさんある山です。そういった山では岩陰の反対側や低い崖のオーバーハングの下、尾根から見下ろした際など10mも離れていない距離でシカに会うことがしばしばあります。当然そういった場面では顔を出すと同時に気取られることが多く走られることも多いです。そういった状況でスコープをのせていると中々狙いづらいですね。理想はライフルサイトやドットサイトでしょう。
しかし、逆に遠くで棒立ちしている、ゆっくり歩いているシカを見つけることもよくあります。今シーズン開拓した猟場では100m前後でも発見することがあるくらい見通しのいい山です。シモ・ヘイヘならできると思いますが、ぼくのような射撃のレベルの低いハンターは70-100m先のシカのバイタルをライフルサイトのスラッグガンで正確に撃ち抜くことが難しいです。さらに山では距離を置けば置くほど木、枝、葉、薮などの視界を遮るものが多くなってきます。そうすると双眼鏡ではシカのバイタルが確認できても、肉眼では全然わからない状態になる場合が多いです。これをぼくは
「木化けシカ」と呼んでいます。こうなるとライフルサイトやドットサイトで狙うことが困難になってきますね。
同じ50mでも射撃場のように開けたロケーションに立っているシカなら狙えるが、木化けシカは狙えない

ターゲットA

ターゲットB
この2つのターゲットは射撃場でM870を委託し2MOAサイズのドットサイトを使用し撃ったものです。距離はどちらも50mでターゲットAの白〇とターゲットBの黒丸は同じ10cmです。
ターゲットAとターゲットBを見ていただければわかりますが、若干ターゲットBの方が散っています。この2つのターゲットはドットを合わせた際の視覚情報に違いがあるからで、ターゲットAの方がセンターを狙いやすいからです。
ターゲットAの場合は黒ドーナッツの中にドットをスッポリ入れるようにして狙うのでセンターを意識して狙いやすいですが、ターゲットBの場合黒●をドットが覆い隠してしまうので引き金を引く直前は黒●はほぼ見えていません。Bの黒●は直径10cmですが、2MOAのドットサイトで狙う限界のサイズだと感じています。これ以上黒●が小さくなるとドットで完全に隠れてしまいどこ狙ってるかわからなくなります。逆にドットが大きくなると同じように狙いにくくなります。
ターゲットセンターと輪郭を意識して撃てるターゲットAはシカの輪郭がハッキリしている状況と似ています。シカの輪郭を意識し、前足肩甲骨のあたりに狙いを定め、オナカの位置、頭の位置を意識することでバイタル(ターゲットセンター)を狙いやすくなります。
ターゲットBは木化けシカや遠いところで棒立ちしている状況に近いです。ドットを合わせることで見えているシカは完全に隠れてしまうので狙いをつけている間はそこにシカがいるのかどうかすらわかりません。ライフルサイトの場合はフロントサイトにシカが隠れてしまいます。紙のターゲットは移動しませんが、シカは動くのでちょっと移動されてもそれに気づけないことが多く狙いをつけることが難しいです。ドットやフロントサイトにシカが隠れてしまっている場合、何度もシカがいることを目視しながらそこにシカがまだいることを祈って引き金を絞る必要があります。
逃げたシカは少し遠くで立ち止まる
これは意外と良くあるシチュエーションです。特に1頭ではなく群れでいる場合に起こりやすい印象があります。
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VPSこちらの動画のようにぼくに気付いたシカは坂を駆け上がっていきますが、急に立ち止まってこちらを警戒しています。静かな装填と据銃を習得していれば十分チャンスになりますが、この動画のような状況はまさに理想的でこの条件がそろうことがそう多くはありません。
この動画では…。
1.シカがすぐに立ち止まった
2.ライフルサイトやドットサイトでも十分狙える距離
3.間に遮るものがほとんどなく輪郭やお尻もハッキリしてバイタルも確認できるなかなかシカが立ち止まってくれず遠くなってしまうことも多いです。シカが逃げて距離が置かれれば置かれるほどシカとの間に木、枝、葉等の視界を遮りシカを木化けさせていきます。輪郭がわからなくなってくるとライフルサイトやドットサイトでも狙いにくくなってきますね。
ドットサイトやライフルサイトは近距離に強いですが、木化けシカややや遠いシカのバイタルを狙っていくことはなかなか難しいです。かと言ってスコープをのせてしまうと近距離であった際に対応が難しくなります。そこでオススメなのがショートスコープです!ショートスコープのススメ
※ボルトは閉鎖していますが弾は装填されていまs(ryショートスコープは対物レンズが、チューブ径と同じ低倍率スコープです。
ショートスコープのポピュラーな仕様はこんな感じです。
・1インチショートスコープ
1.5-4x20・30mmショートスコープ
1-4x24・30mmショートスコープ
1-6x24オススメは30mmスコープのほとんどドットサイトのように使えるショートスコープですが、レミントン純正カンチレバーバレルのようにアルミマウントをねじ止めしているだけのものや、薄いレシーバーに穴を開けて、細いネジで止めているだけのレシーバー直付マウントベースの場合は軽量な1インチショートスコープをオススメします。以前とあるスラッグシューターがレミントン純正のカンチレバーアルミマウントがネジ穴からポッキリとへし折れている写真をアップされていました。重いスコープをのせる気は失せましたね…。
対物レンズ径=チューブ径
「1-4倍なんかじゃなくても2-7倍とかでもいいんじゃないの?」と思われている方もいると思います。確かに2倍でもある程度近距離には対応できるでしょう。しかし2-7倍スコープはスコープ取り付け範囲が極端に狭いのです。

MSS-20はショートスコープ サベージM210は2-8倍スコープをのせている

2-8倍スコープはリングの取付範囲が狭く2ピースマウントをのせたロングアクションボルトの銃と相性がわるい。
どんなリングの高さ、どんなマウントベースでも幅広く取り付けることが可能なのはショートスコープの強みです。写真はMSS-20に1-6x24、M210に2-8x42のスコープがのせられています。見ての通り2-8x42のスコープが少し前に出ています。構造上これ以上後ろには下げて取り付けることができません。アイレリーフが短いスコープの場合はかなり前のめりになってスコープを覗き込まなければなりません。特に2ピースマウントベースをのせたロングアクションボルトのボルトアクション式スラッグガンとの相性が悪いです。現行型サベージM212やM220のように1ピースマウントベースならもっと後ろにスコープを下げることができます。銃の種類やベースによっては2-7倍スコープの取り付けに難がありますが、ショートスコープはチューブ径と対物レンズ径が同じなのでスコープの取り付け範囲が広く体系や倍率に合わせて任意の位置で取り付けが可能です。またカンチレバーマウントやベレッタのGrooveマウントはもともとマウントベース自体が厚くて高いので可能なら低いリングをつけたいところですが、2-7や2-8スコープの場合マウントのピッチによっては低いリングで取り付けができなかったり、好みの位置でスコープを取り付けできなかったりする場合もあります。
真正1倍 True1xの強み
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VPS真正1倍、英語ではTrue1xと言われています。完全な1倍のことで、スコープを覗いてもただの筒のように見えます。ドットサイトや筒を覗くのとは若干違いますが、10m前後で走られたシカや飛び出したヤマドリにも十分対応が可能です。さらにイルミネーターを装備したスコープなら視認性は非常に高く限りなくドットサイトに近い運用ができます。
4~6倍あれば木化けシカのバイタルをバッチリ狙える
ノコノコと歩いているシカがいます。距離は50~60mです。弾を装填し見上げると「アレ?シカがいません!」 双眼鏡で見ると小さな薮の中に立っているのが確認できます。スコープの倍率を上げ据銃、バイタルに狙いを定めて引き金を絞ればおしまいです。
1倍のあるスコープは遠近"猟"用のオールラウンダー
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VPSTrue1xはいわば遠近両用の汎用性の高いスコープです。双眼鏡もスコープも、
「倍率の低いモノを買うのはモッタイナイ、せっかくなら高倍率の方がいい」と思われている方も多いですが、倍率の高いモノこそ使用できるロケーションは限られていきます。さらにライフルならまだしも高倍率のスコープをのせたところでスラッグの射程というのはたかがしれているので猟場で9~12倍等が求められるシーンは限られてきます。北海道で200mのシカをハーフライフルで撃つなら4倍では心もとないですが、ニホンジカを杉山で撃つ分高倍率スコープはオーバースペックなところがありますね。
201903追記参考記事:【単独忍び猟ではどんな銃が求められるのか? 】
ツイッターで交流のある狩猟者「やまくじさん」と「カカシさん」は最低倍率4倍以上のスコープをミロクMSS-20やターハントにのせて運用されています。お二方とも
「50mでもヘッドやネックを確実に狙っていくなら高倍率スコープが欲しい」的なニュアンスの話をされていました。たしかにぼくの場合、少し遠いと感じたらネックではなく確実に倒せる前足肩甲骨を砕きにいきますが、安定的に遠距離のヘッドネックに撃込んでいきたいならぼくでももっと高倍率のスコープにのせかえるでしょうね。内地杉山のニホンジカ単独忍び猟の場合どちらかと言えば無警戒で棒立ちorゆっくり歩いているシカを撃つ場合が多い印象です。それなら1~2倍の低倍率は切り捨てて高倍率寄りのセッティングにすることにも多くのメリットがありますね。
しかし、「寝屋から飛び出してきたイノシシや踏んで飛び出したヤマドリ、目の前から走り去るシカも撃ちやすいほうがいい」それがぼくの好みです。なのでぼくは1-2倍のある低倍率スコープを下ろすことができなかったりします。近距離を素早く移動するターゲットをダウンさせられる確率を上げるならショートスコープ、遠距離射撃での捕獲率上げたいなら高倍率スコープ。近距離での出会いが多いか?遠距離に重きを置くか? どちらに振るかはその人、その人のいく猟場次第ですね。汎用性の高いオールラウンダーなショートスコープか?遠距離精密射撃に特化した高倍率スコープか?迷いますよねー。どっちも持てば解決ですよ!
オススメのエントリー機
Leupold VX-Freedom 1.5-4x20
ココがイイ!
・軽量(重量級30mmショートスコープの約半分)
ココが残念!
・アイボックスが狭い
・1インチショートは構造上1倍が存在しない(1.4倍~)
・銃砲店で購入すると高い
参考:Leupold VX-Freedom 1.5-4x24 インプレッション
VORTEX STRIKE EAGLE 1-6x24
写真上:SE1-6x24
ココがイイ!
・アイボックスが広い
・視野が広い
・6倍まで使える
・国内正規販売店があり良心的価格で購入できる
・生涯保障付き
・近距離で対応しやすいレティクル
ココが残念!
・10m~20mでTrue1xになるようにディオプターを調整していると50mで少し像がボヤける
・イルミネーターは最大光量で日中ギリギリわかる程度の明るさ
サイトロン TR-X 1.25-4.5x24
ココがイイ!
・日本製
・2万円弱と格安
・アイボックスが広い
ココが残念!
・4.5倍のアイレリーフが短い
・True1xではない
・イルミネーターは日中使えないくらい暗い
・レティクルセンターにある●が邪魔
予算があればオススメするショートスコープ
VORTEX STRIKE EAGLE 1-8x24低価格帯ながら8倍が使えるモデルで8倍時のアイレリーフも1-6x24モデルと同じ!
VORTEX VIPER PST GEN2 1-6x24GEN2(第二世代 第一世代モデルはRangerという名前で発売されました。)から10万円程度に値上がりしました。外見やレティクルはほぼハイエンドモデルのRAZOR HDと同じ仕様になっていますが、価格はRAZOR HDの約半分、イルミネーターがかなり明るくドットサイトのように使用できてレンズもかなりクリアです。
単独忍び猟でシカ撃ちをしたい!という人にはショートスコープはオススメですよ!
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ところで「VORTEX製品多くない?他にもメーカーあるっしょ?」と思われた方もいると思います。個人的にVORTEXをオススメする理由についてですが
・国内正規販売店がある
・修理対応を国内正規販売店が受け付けている
・米国希望小売価格同等の価格設定
・入手性が高い
・30mmスコープがリーズナブル
・メーカー曰くすべて「スラッグ対応」
などなどの理由があります。銃砲店でリューポルドを購入すると米国の実売価格の倍近い値段がしますし、並行輸入品は基本的に保証もついていません。さらに昨今はレプリカとは違った悪意のあるパチモンもしばしば見かけます。VORTEX製品はビノジャパン(公式ページ、Amazonストアあり)や修理対応を受け付けているオンラインストアをオススメしますね。
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