とある週末ハンターの1日(ニホンジカ)

とある週末猟師の1日(ニホンジカ編)



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冬のある日 ニホンジカを撃ちに行く






5:00 起床

日の出は7:00、猟場までは1時間程度銃と弾以外は前日にバッチリ準備できてはいるが最後まで迷うのが「今日はどの猟銃で山にいくか」である。同じシカ撃ち用の銃でも微妙に得意とするロケーションが違う。遠くにいるシカを狙うならスコープ付きのハーフライフル銃が良いのだが、近距離で走られた場合のこと、偶然ヤマドリに遭遇できた時のことを考慮するならドットサイトがのった銃がいい。30mmショートスコープをのせたM870のハーフライフルは重いが、軽量なオープンタイプドットサイトをのせただけのベネリM2は軽く1日中歩ても疲れにくい。迷う、迷う、迷ってスコープをのせたハーフライフル銃身のM870を持っていくことにした。装弾ロッカーからフェデラルの銅サボットを12発、ヤマドリやウサギに使える32g 7.5号を3発を取り出して自宅を出る。


シカ撃ちなのでいつも通りブレイズオレンジのハンティングベストとブーニーハット、バックパックにもいつも通りの装備が詰め込まれている。


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5:30 出発

許可証ヨシ 財布ヨシ スマホヨシ 車のトランクに猟具一式を積み込む。スマホを車に接続して好きな音楽や毎週追いかけているアニメのラジオ番組を聞きながら猟場まで運転する。




6:30 猟場へ到着

日の出時刻まではかなり時間があるがテキパキ準備する。銃袋を被ったM870をソフトガンケースから取り出す。


銃袋とソフトガンケースを2重にしている理由はいくつかある。

・公道上でソフトガンケースから取り出しても違反にならないから

・移動中の車の振動から少しでもスコープを保護するため

・銃袋だけでは「銃」とわかりやす過ぎるから

・銃袋が開いて隙間から銃が見えてしまうことがあるから

・銃袋を山で紛失したとしてもソフトガンケースに入れて帰ることができるから

ソフトガンケースをトランクに放り込んだら近くに落ちている岩を車輪止めにして車から離れる。





林道を離れて少し登ったところで銃袋から銃を出す。
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バックパックの外ポケットに銃袋を詰め込んでから装備品一式をまとめたマルチポケットポーチを取り出す。ポーチには手製シースに収まったナイフも入っている。お手製シースはそのままポーチに戻し、抜き身のナイフは装備にケーブルタイで括りつけているシースに挿す。自宅から猟場まで移動する間はナイフを腰からぶら下げたりと外から見えないように携行している。知らない人に見られて通報されるかもしれない、不安を与えるかもしれないという可能性を考慮している。



GPSを起動させ動作チェックを行う GPSはノースアップに設定してリストコンパスを併用する。
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日の出

日の出は林道から見えないところまで登ってから迎える。車の近くにいて運が悪いと別の狩猟者が現れて絡まれてしまうかもしれないからだ。以前車の近くで準備していたところに現れた自称狩猟者から「ここは俺の猟場だから」と絡まれた経験あってのこその判断である。誰にも会わなければトラブルはない。




シカ探し

アタックルートは当日の気分次第だ。この日の猟場の近くには渓流が流れているのでまずは朝方に水を飲みに降りてきているシカを狙って歩いていく。
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シカの探索は5~6歩移動したら足を止め、見える範囲にシカらしきモノがないかをチェックをする。いなければまた5~6歩移動する。延々とこれを繰り返す。「あれはシカっぽいな」「あそこはよくシカが溜まってるな」そういうポイントを双眼鏡でチェックしながらゆっくりと進んでいく。



渓流沿いを歩ていると遠くから「ピィー」というシカの警戒音が聞こえた。対岸の杉山を駆け上がる影が見える。ヒザをついて薬室に1発だけ装填し銃を構えるがシカは立ち止まることなく行ってしまった。撃つこともできなかったが山を歩き始めて10分も経っていないのでそれほどショックではない。むしろこんなに早く獲れてしまうと若干寂しい気持ちになってしまうので「さぁ次々」と気持ちを切り替えて歩き出す。


最初のポイントに近づいた。エサ場とされている場所だ。一見すると枯れているように見える植物はよく見ると僅かに葉が残っている。シカの背でも届かない枝にはたくさんの葉が残っているが低い枝はほとんど丸裸だ。皮の剥がれた杉の木も多く見かける。
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ガサガサ…

ガサガサ…






目視で50~60m先の茂みが揺れていることに気が付いた。双眼鏡を覗いてみるがヤブが濃くて対象がはっきり目視できない。そのヤブとの間は何本か気が生えている程度で身を隠せる障害物はほとんどないロケーションだ。ゆっくりゆっくりと近づいていく、少し近づいたら双眼鏡、少し近づいたら双眼鏡、それを繰り返しながら近づいていく。ある程度近づいたところで異変に気が付いた。ヤブのかなり高い位置が揺れている。それはシカでは届かない高さだ。その時に頭で思いついた動物は3つ、ニホンザル、トンビ等の大型猛禽類、そして人間だった。

しかしニホンザルに関してはすぐに否定できた。この山では痕跡を一切見たことがないことに加えて周りに気配はなく単独行動をしている。こうなると猛禽類か自分のような変人が植物採集にでもきているか…。サルにしても猛禽類にしても撃つことは無いがそれが何なのか知りたくてギリギリまで近づいて双眼鏡を覗いた。



その距離20mもない
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「カモシカか…」


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カモシカはこの山では非常に少なく、数年前に一度目撃しただけだったので完全に頭から抜けていた。低木に上って高いところの葉を食べているようだ。せっかく珍しいシチュエーションなのでじっくり観察させてもらうことにした。


流石に気配に気づいたのだろうか?カモシカだと気づいてから5分程経ってカモシカは木から降りてきた。子どもだろうか?かなり小柄で足が短い。確かにこれでは背の届く範囲の食べられる植物はかなり少ないだろう。それよりずっと背の高いシカに食い尽くされているからだ。木に登らないと食べものがないなんて、シカに迷惑しているのは人間だけでなく、シカ以外の草食動物もまた困らせられているようだ。

カモシカはあたりを見渡してから毛に絡まった葉を落とすようにブルブルとカラダを振っている。



そしてのそのそとマイペースに歩き出した。
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「…。」







「おーい!」

つい反応が見たくて声をかけてみた。ところが無反応で全くこちらを気にしていない。足を止めることなく歩き続けて尾根を越えて行ってしまった。撃たれないとわかっているのだろうか?





しばらく歩いてからアナグマがねぐらにしているガレ場についた。ココにも割とよくシカに出会えるので警戒しながら歩く。双眼鏡であたりを確認するがシカはいないようだ。アナグマがよくいるガレ場もチェックする。







白い何かが岩の上で動く

双眼鏡を覗き込んだ







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夜行性動物にとって早朝は一番眠たい時間なのだろう。ウトウトしながら日向ぼっこでもしてるのか、それとも見張り役が仕事をしていないのか。今日持ってきているのはスコープのついたハーフライフル銃、頭だけハジくことも難しくない距離だが…まぁ今日のところは見逃してあげよう。眠りこけそうなアナグマを迂回して予定のルートに戻った。






それからというものシカに出会うことがほとんどなかった。







12:00 お昼ごはん

12:00過ぎ、昼の準備をしよう。

持ってきたのは前日にコンビニで買っていた冷食の味噌ラーメン。具も多くカップヌードルよりリッチ



昼食を含めた休憩は長めに取るようにしている。単独忍び猟で重要なのは集中力だ。集中力が切れてくるとちょっと先で棒立ちしているシカやイノシシになかなか気づけないことだってある。ガサガサと走られてから気付いても遅い。休憩は集中力を日の出から日の入りまで維持するために大切なコトのひとつだ。

味噌ラーメン×紅茶という絶望的にマッチしない組み合わせでも寒い冬空の下なら最高に美味しく感じるもの。Tパックのガラもラーメンの入っていた袋にいれてしっかりお持ち帰り。




13:30 再開

ゆっくりと移動を再開
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シカがよくいるポイントに静かに忍び寄っていく、この急斜面を登った先の尾根の反対側での出会いが多い。尾根の反対側を確認する直前に薬室に1発、弾倉に2発込めてセイフティを掛ける。息を殺して小枝を避けて慎重に歩きゆっくりと顔を出しながらセイフティを解除する。



顔は動かさない、眼球だけを動かしてチェックする。顔を動かさずにチェックできる範囲にシカがいなければ少しだけ顔を動かす。同じように眼球だけチェックできる範囲を集中して探す。

これを繰り返していく。





14:00

低い常葉樹の下、強い木漏れ日の中で違和感を見つけた。

木の根元がポッコリと膨れている

岩だろうか? それともシカ?


休憩している動物はあまり動かないので手振れがキツイと判断が難しい時もある。尾根にヒジをつくようにして双眼鏡を覗き込んだ。




やはり何かが座り込んでいるようだ



木漏れ日が強くハッキリとはわからないが四つ足の大型獣が休憩しているのは間違いない。しかし上半身ががちょうど木の幹に隠れていてシカなのかイノシシなのか区別がつかない。



ハンティングをする上で必ず守っている自分ルールがある。それは顔を確認してから撃つこと

自分は今『イノシシかシカなのは間違いない』と思い込んでいる。

事故を起こした人も撃つ直前はそう思っていただろう。
「シカに間違いない」「イノシシに間違いない」

でもニュースで見るのは「イノシシだと思った」「シカだと思った」そんな話。だから必ず顔を見てそれが何か確定してからでないと撃たないと決めている。


5分程双眼鏡で凝視するが一向にソレは動かない。仕方がないので近づいて顔の見えるところまで移動することにした。ゆっくりと慎重に移動をはじめる。






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「ピィー!」

ビリビリと鼓膜に響く警戒音

マークしていたのはシカだったようだ。マークしていた影より少し離れた木陰から別の2頭が走り去っていくのが見える。咄嗟に銃を構えるが乱立する低木が邪魔をして撃てない。マークしていたシカも少し遅れて立ち上がり走り去っていく、一歩移動して側に立っていた木に左肩を依託させて構えなおした。スコープでシカを捉えて追いかけていると一瞬そのシカが立ち止まった。

最初に居た位置からレンジファインダーで計測した距離は60mだった。そこから斜面を下るように移動されたのでもう少し距離が離れているが80m~90m程度だろう。



いつも射撃場で黒点を撃ち抜くイメージをする
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呼吸を整える

一瞬だけ我に返る

肩付けができているか?

しっかりほお付けができているか?

グリップをギュッと握り直して前足の肩甲骨に狙いをさだめて引き金を絞る






ドン
フェデラルの銅サボットスラッグは反動が強いが、冬場なので厚着をしていることに加えてアドレナリンが出ているとあまり痛く感じない。
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シカはマリオネット人形を手から放すようにストンとその場に倒れ込む







肩甲骨から入った銅サボットスラッグは心臓周りを撃ち抜いておりシカは完全に絶命してる。
基本的に1日1頭なので今日はこれでおしまい

まずは弾を抜いて安全確認、ボルトを開いたら銃を近くに置いてバックパックから解体用のナイフを出す。

皮を剥ぎながら肉を切り出していく。
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取り出した肉のブロックはビニール袋に入れる。1つ、2つ、3つと肉の入った袋が増えていった。バックパックからコンパクトに折り畳んだボストンバックを引っ張り出して肉の袋を詰め込む。




頭や皮を含めた不要な部位はその場に埋設するが、その前にナイフやノコギリを使って可能な限りバラバラにする。あとは折り畳みシャベルを使って埋没するための穴を掘る。穴は掘りやすい地面や崩れやすい急斜面などの地形を利用すると比較的労力も少ない。








16:00

地味に時間が掛かる埋没作業を終わらせたら荷物をまとめて山を下りる。ぐるりと山を一周してきたので車までそう遠くはない。

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18:30

ヘトヘトで自宅に到着。銃や弾を保管庫に戻してから風呂に入る。

ダニはついていないようだ。


お風呂を上がったらまずは銃の掃除、一日山を歩き回るとどうしても土や葉っぱが入り込んでしまう。きれいになったらガンロッカーに戻す。今日もご苦労様
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食べる


ハツとタンは塩コショウで焼いていく


大きなブロックの一部と細切れ肉は時雨煮にしよう



ハツとタンはコリコリとしていてたまらない。野生肉っぽさは全くない
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時雨煮は大量に作る。シカっぽさが薄れてしまうが何にでもあう万能食だ。残った分はタッパーに入れて冷凍庫に
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ショウガは多めにいれた
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一日歩いて疲れ切ったカラダにはビールがしみる

自分で苦労して獲ったシカ

達成感と喜び 今日を振り返る

そして次はどう攻めるかを考える

次はイノシシが獲りたいな

分厚い脂のメスのイノシシが

ヤマドリも獲りたい

尾の長い真っ赤なヤマドリが






















_人人人人_
> 悲報 <
 ̄Y^Y^Y^ ̄






_人人人人人人_
> まだ5月 <
 ̄Y^Y^Y^Y^ ̄

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